
震災演劇連絡センターは、「震災 SHINSAI:Theaters for Japan」で集められた寄付金を活用し、震災と演劇に関わる情報を収集、発信するために設立されました。
2011年3月11日に起きた東日本大震災は、東北を中心に、北海道から関東沿岸に、まさに未曾有の被害をもたらしました。
直後のパニック状態から比べると、相当の落ち着きを取り戻しているように見えます。しかし、本当の姿が伝わっているかというと、そうではないような気がします。
それなのに東北の太平洋側を離れると、報道や情報は格段に少なくなり、もうすっかり復興も終わったかのような、何事もなかったような空気に満ちあふれていました。
そんな空気の中、広島や京都、茨城や岩手や北海道では水害が、熊本や鳥取でも地震が、そして御嶽山は噴火しました。日本はいつでも災害後で災害前です。
「演劇を無力と思ったことは、未だかつてない」
これは、岩手県出身で、関西の演劇界に大きな功績を遺した、故秋浜悟史氏の言葉です。阪神淡路大震災に打ちひしがれながらも、兵庫県立ピッコロ劇団の代表として、被災地激励演劇活動を指揮した氏の言葉は、東日本大震災を経た今でも、重く、そして輝いています。
わたしたちはその言葉を胸に、折れた心を励ましながら、震災後の演劇をこの東北の地で紡いでいるのです。震災は演劇にも消えることのない爪痕を遺しました。だからこそ、それを集め、公開してゆくことが必要だと考えます。
日本劇作家協会東北支部は、これまで、震災と演劇についてさまざまなことを話し合ってきました。というより、震災を契機に、東北の演劇人は本当の意味で語り合い始めました。
そして、東北の演劇人が語り合いを始め、震災から一年が経過したその日に、海の向こうのアメリカでは「東北の演劇人のために」と、ニューヨークを中心に全米をつないだチャリティーイベントが行われました。
それが「震災 SHINSAI:Theaters for Japan」です。
その寄付金を託されたのが日本劇作家協会と、その東北支部でした。
「風化」に抗い、演劇によって、震災と東北を伝え続けることが、わたしたちに与えられた大きな使命なのだと考えています。そしてその役割を担うのが、震災演劇連絡センターなのです。
